オーストラリアの思い出 その6〜日本ではない!
いくらオーストラリアが、治安が比較的よく人々がフレンドリーだからと言っても、そこは異国の地、気を抜いてはいけない。
シドニーの街中を歩く時は、貴重品はしっかり身につけ周りへの警戒は怠らない。 夜に郊外の家へ戻る時は 、後ろを振り返り明るい道を選ぶ。
日本では普段やらない、常に気を張り警戒する、というのが身に付いていたと思っていたのに、旅に出て初っ端のケアンズで、
取られた!
何を?
シャンプーとリンスを!
地球の歩き方、というガイドブックを見て予約した、バックパッカーさん達が2、30人ほど泊まる宿。
キッチンや、何室かあるシャワールームが共用で、部屋は料金によってエアコン付きの個室から、 1ドル入れると1時間動くというクーラーがある6人部屋まで。
私は2ヶ月の長丁場の旅なので、6人部屋。
4人部屋だったかな?
1週間か10日くらい滞在した気がする。
割とはじめの方で、シャンプーリンス置引き事件発生。 牛や農産物は安いけど、紙や洗剤関係など輸入に頼っているものは高い。
トイレットペーパーは、今はどうか知らないけど、売られているのはパルプ100%の三枚重ねが普通で、シングルとか再生紙とか見た事なかった。だからすごく高い。
シャンプーリンスもそう。
日本ではドラックストアで安売りされているパンテーンとかがメチャメチャ高くで売られていた。 安宿なので、トイレットペーパーも勿論自前。
そしてシャワーの時、うっかりシャワー室に置き忘れた‥ 急いで取りに戻ったけど、もうなかった‥
その時のショックと言ったら!
たぶん、私にしか分からない感情。
当時泊まっていたの15,6人ほど。
すでに顔見知り。それなのに、人のモノ取るか? 信じられない。 買ったばっかりだったのに‥ 人間不信と、怒りと悔しさで、
初対面の三十半ばのスイス人だという女性に涙ながらに訴えた。
訳の分からない英語を駆使して‥号泣しながら。
この呆れる訴えに、その女性は 取られるほうが悪いなどとは言わず、共感してくれた。
私はその時、日本ではこんなこと考えられないからショックだった、と言った記憶がある。
本当にそう。
人の使いかけのシャンプー取るかな。
どう見ても新品で、ちょっと忘れただけって想像つくのに。
しかも皆んな長期滞在で顔もしれてるのに‥
あり得ない! 日本では‥
そう、ここは日本ではないんだ。
口に出してみて、ようやく当たり前の事に気付いた。取られるほうが悪い。
というか、取られるほうも悪い、かな。
使いかけだろうと、顔見知りになろうと、置き忘れたら取られるのだ。
日本ではないのだから‥
場所取りにバッグを置いてても取られはしなかった母国、日本‥
甘ちゃんだったのね。
旅のはじめに、取られてよかった。
以後は持ち物管理は徹底し、何ひとつ取られずに済んだから‥
夫が言う。
半年居てさ、結局取られたの シャンプーとリンスだけだったんでしょ。 良かったじゃん。
いやいや、そうだけど。
その時のショックは
アナタには分かるまい。